ゴールデンウィークのど真ん中。FunkMusicオンリーのフリースタイルソロバトルに出てまいりました。結果はまぁまぁでしたが、いろんなバトラーの様々なFunkの体現を目の当たりにして刺激的な夜だったのでここに残しておこうと思います。
気づきがあったので先に言っときますわ。
いやまじでFunk苦手かもしれん。
多用な曲で踊るからこその弊害
いやいや、ロックダンスだけなら15年はやってて今更ファンク苦手とか冗談きついぜ。自分の音楽の趣味に偏りがあるのは理解しているけど、こんなにもFunkになるとノれなかったっけ?天下のJBも泣いちゃうよ。
「LOCKDANCEといえばFUNKで踊る」
これはTikToker以外の誰もが知っている基本だと思います。昨今はファンクに捕らわれずいろんな曲でロックダンスが踊られるようになり、ロックダンスの様々な可能性を見出すことができるようになったと感じています。かく言う私もいろんな曲でフリを作ったりバトルしてたりと雑食の傾向にあります。
そうは言っても、ファンクで踊ることの重要性も忘れちゃいけないわけです。今回参戦したバトルイベントは開催が三回目とのことで前回の動画などもちょくちょく見てみました。みんなが「Funk」というひとつのジャンルでおのおののスタイルを全面にぶつけているのがとても印象的で「俺も自分のスタイル押し付けてぇな」と、バトル前はとってもわくわくしてました。
しかし、いざ曲がかかると「なんか音数少なくね?」「盛り上がりに欠けてね?」と味気無さを感じていました。なぜそう感じたのか踊っていくにつれて理解していくこととなりました。
1次予選
予選は1次予選と2次予選に分かれており、1次予選は「パーティ形式」でした。
聞いたことがない。
そもそもパーティなんてマリオパーティぐらいしか知らないよ。
※いろいろキノコガチ勢
この「パーティ形式」はフロア内をバトルジャッジ3人が巡回して、踊っている人を評価するというもの。フロアのいたるところでサイファーを形成して、任意のタイミングで踊ることになります。言うなればDJタイム中に審査されているみたいな感じです。
この予選の所要時間は・・・・1時間⁉
いや待ってくれ、通常のオーディション予選でも長くて一人の持ち時間1分程度でしょ?え?普段の60倍も長く踊れるの?死者でちゃうよ?
みたいな感じで狼狽えていたのですが、先述のとおりDJタイムのような予選なので連続で踊る必要はなく、適宜フロアからバーカウンターに移動して休憩をとっても構わないとのことでした。なんて自由な予選なんだろうか。予選が始まって15分もしないうちにでたばこ吸いに行っちゃったのは内緒。
実際に予選が開始されると、誰に指示されたでもなくバトラー達はこぞってジャッジの目の前で踊り始めました。程なくして各ジャッジを先端にそれぞれ巨大なサークルが形成されていきました。
限られた時間の中、自分を最大限にアピールするべくみんな我先にと踊りだしていました。アピールが必死すぎて明らかに度が過ぎてるような光景も目に入ってきました。一人が出ようとするともう一人が後ろからついてきたり、一人が明らかにムーブの途中なのに割って入ってきたりと。
パーティで空気読めないとか何事?
とドン引きしていました。
日常生活でもあれだけ自己主張激しいのかな。社会で生きづらくないのかな。
いや、わかるんですよ。予選死ぬ気で上がりたいし優勝だってしたいしその気持ちはすごくよくわかります。
オーガナイザーがどういった意図で「パーティ形式」を予選に採用したかはわからないですが、周りとのコミュニケーションを無視するようなパーティは望んでないんじゃないの?むしろコミュニケーションをたくさんとって良い空気感で良いムーブが飛び出すことを期待していたんじゃないの?
それこそひとりでマリオパーティやっとけよ。
※初代マリパの「ミニゲームアイランド」は一人で遊ぶのにうってつけ
「俺を見てくれ!」みたいな圧がなんとも覚めてしまう感じでした。
予選開始から30分ほど経過して、一服ついてから再びフロアに戻るとジャッジが見ているサークルだけでなく、フロアのいたるところで小規模なサークルが多数形成されていました。みんなガツガツ行くのに疲れ始めたのか、そもそも空気の違和感を察したのか、「おのおの楽しめばよくね?」みたいな雰囲気でいろんな人と好きに踊りあう環境が出来上がっていました。一人で音楽を感じながら揺れたり、仲のいい人とお互いに踊りあったりと、誰かのために無理して踊らなくてもいい感じが居心地よく感じました。
もちろん勝負の場であることも忘れてはならないので、たまにジャッジのいるサークルに飛び込んだりとかしてましたが、わりと自由に自分のタイミングで踊っていました。ジャッジ3人にも一回ずつは見てもらえたました(ムーブの内容はそこそこ)。もう何回か見てもらったほうがいいのかとも思いましたが、長時間の予選ということもあり、どれだけいい曲来てもいいムーブできないと感じたのでフロア隅で適当に揺れて終了しました。このときフロアで流れていた音楽に、自分の中で若干の違和感を覚えていました。
予選終了後、お待ちかねの結果発表の時間となったわけですが、慣れない「パーティ形式」の中ではやれるだけのことはやれたと思っていたので、予選落ちしてもおとなしく受け入れる準備はできていました。そんなことを考えているとMCの呼び込みと共に次々と通過者としてフロア中央に集まるバトラー達。かなりの人数が呼ばれたのち予選通過者は以上とのアナウンス。「やはりダメだったか」と心の中で唱えようとしたそのとき、MCから「ジャッジの皆さんはその他気になったバトラーをひとりだけ指名してください」との追加のアナウンス。そう、ラストチャンスがまだ残っていたのです。そのことをすぐに理解した私は無意識に一歩前へ出て自分の存在を少しでも前面にアピールしていました。今考えると、こんなことしている時点で、予選落ちをおとなしく受け入れる気もサラサラなかったんでしょうね。
ジャッジ3人がフロア内を散り散りに歩き回って気になっている人探しをしている間、
(俺はここにいるからね?)
(結構俺って印象的じゃなかった?)
(ちがうちがうそっちじゃなくてこっちにいるよ!)
と歩き回るジャッジにテレパシーを送り続けていました。
すると、ジャッジのひとりが私に近づいてきました。
(先生・・・!)
(俺よくなかったですか?)
(あ、でも一回しか見せられなかったしなぁ)
(いや、とりあえずあげてください、次もっと頑張るんで!)
目の前にいるジャッジ、いや実はこのジャッジというのは私にロックダンスのいろはを教えてくれた先生なのですが、ここまできたら予選通過したいという切なる思いで先生の目をじっと見つめながらテレパシー、いやサイコキネシスぐらいの念を飛ばしていました。
そのジャッジは私の直ぐ傍まで近づき、私の体を力強くタッチしたのです。その間に言葉はなく、タッチしたかと思うとあっという間に踵を返してMCやスタッフのいるステージのほうへと戻っていきました。私にとって、その一瞬のやり取りだけで「1次予選を通過した」という事実を理解することは容易でした。
やはり私は予選落ちで妥協できるほどの気持ちを作れていなかったことが改めてわかりました。先生の生徒に対する恩寵だろと思われるかもしれませんが、ホントの恩寵はストレートに予選を挙げてくれているはずなんですよ。1次予選終了直後、結果発表が行われるまでの間に、先生に挨拶しにいったところ「もうちょっと見たかったな~」と物足りなさを指摘されていたので、予選通過ではないけど追加で上げるとなったら選ぶというのはジャッジ目線では正当な判断であったのではないでしょうか。
2次予選
選出された約30人程度のバトラーがオーディション形式で踊る2次予選。ここで流れる音楽も当然FUNKなのですが、自分が出たいときに出る方式のため音楽と空気感を考えて最初のうちは出ずに待っていました。
(もっとテンポの良い曲が来たら出よう)
(もっと楽器の音の強い曲がいいな~)
(もっと音の多い曲かけてくれないかな~)
(あれ?)
(FUNKバトルだからこれ以上のもの望めなくね??)
そうなんよ。ロックダンスバトルとは違って音楽のジャンルを一つに絞ったバトルっていうのはもうこういうものしか流れないんよ。
(俺、こんな曲で踊るの苦手だよ、、、、)
いや、正確には今時のボカロやらJPOPを聴きすぎて音数の少なさや表現の一定さに魅力を感じていなかったのかもしれないです。例えるなら家系ラーメンを毎日食べててある日、普通の和定食を食べたら味を感じられないような感覚です。もちろん和定食の魅力はあるのですが、それ以上の表面的な刺激を受けすぎてその魅力を感じることができていない状態になっていたのです。
残りが数人くらいになったタイミングで、「これは待ってても待っていなくても自分のパフォーマンスは変わらないだろう」と感じて曲の感じとかは全く考えずでることに。その時流れていた曲はかなり落ち着いた感じだったので、フルパワーで踊るというよりはゆっくりじっくりしっかりロッキングしてましたね。ポイント、ロック、スクービードゥを懇切丁寧に実行していきました。本番の舞台なのに基礎練習をしているみたいな。たまーにややこしそうなステップはいれるものの、音のニュアンスとは合っていない「コレジャナイ感」がすごくて自分の中でひとつもしっくり来ていませんでした。ムーブを終えた私は、(これは終わりましたわwww)と予選落ちを確信していました。
今回のバトルは16人がピックアップされるわけですが、ジャッジ1人につき5人まで選出して、最後の1人はジャッジの話し合いで決定されるとのこと。このジャッジに背を向けて選ばれるのを待つのってとんでもなく心臓に悪いんですよね。選ばれるタイミングもそれを理解するまでのスピードも人にお任せしている状態なので居ても立っても居られないような苦しさがあります。今回ばかりはさすがに先生の恩寵は発動しないだろうと思っていました。次々に予選を通過していくダンサーたち。気づけば16人が出そろい残る1人を選出する場面に。
予選落ちを確信したといえど、やはり最後まで心の隅っこで希望を持ってしまうのは人間の性なのでしょうか。話し合いが終わり代表で先生がラスト一人を指名することに。
次の瞬間明らかに背中を小突かれた感触がありました。どうやら私が最後の一人に選ばれたらしいと感じてからそれを自覚するまでに少し時間要しました。
(ありがとう先生)
※後で聞いたところ、先生の意思というよりか他のジャッジが良く評価していたとのこと。
選出されたことに対して素直に喜びたいところなのですが、
いやいや、予選の俺ギリギリすぎん?
となりました。1次も2次もずっとハラハラしてるんやが、、、
でもそこは上がることができたんだし、切り替えて本戦に集中することにしました。
本戦トーナメント
背中をたたかれた順で下位通過者(通過したのが9番目~16番目の人たち)の順位が高い人から上位通過者(通過したのが1番目~8番目の人たち)を指名してトーナメントを行っていきます。上位通過者と下位通過者が、試合前の野球部のように対面横一列になって並び一人ずつ前に出て指名をしていきます。フリースタイルバトルということもあり、普段では見られないカードが続々と決定していくなか、わたしは
(うわ俺誰にしようかな~)
(みんな超強そうじゃん・・・)
(ロッカーだったら知ってるし戦いやすいかもな~)
(いやでもロック対決で負けたら言い訳できなくてめっちゃ悔しいしな~)
(お!そことそこが当たるんだ!楽しみだなぁ!)
(全然知らない適当なポッパーに当たっとくか?)
(いや、こういうところに出てくるよくわからんポッパーほど要注意なんだよなぁ~)
MC「それでは、最後のとーやは第1回戦目です。」
ほえ?おれ相手選んでないよ?
あっ(察し)
そう、このシステムだと下位通過者の上から順に相手を決めていくため、最終位通過した私は指名されずに残っていた上位通過者と自動的に当たることになるのです。最初から私に選択の余地はなかったのです。
お相手は2次予選でがっつりかましてたダンディーなポッパーさん。
だからこういう相手が要注意なのよ。
どんな人なんだろうと相手の恰好をよくよく見ていると、シャツにパンツスタイルで上には暖かそうなダウンベストを着て、首からストラップにつながった社員証のようなものをぶら下げており、その様はまるで仕事の休憩時間を利用してクラブに遊びに来て「これからまた仕事に戻りますよ」と言われても疑うものは現れないであろう恰好でした。
だからこういう相手が要注意なのよ。
いやいや、その人の趣味や意図を否定する気なんてサラサラないけど本当にそれ踊りやすいのか??ダウンベストとか暑すぎて無理やで。てかその恰好で予選かましてたのだんだんかっこよく思えてきたわ。こっちなんか無いセンスふり絞って、流行からちょっと過ぎ去った釣りベストに、もう5~6年は履いてるG.U.のチノパンだぞ。
と頭を混乱させている間にバトルスタート。かかった曲はcameoの「style」でした。この曲を箱でしっかり聞くのも久しぶりすぎてそのことにも動揺が隠せませんでした。個人的にはJBあたりのもうちょっとパサパサしたFunkもかかるかと思いきや、予選からがっつり打ち込みって感じの選曲が多く、本戦でもそのスタンスは変わらないようでした。
対面バトルのときは相手側によっぽどの主張がない限りは先行で飛び出すと決めているので、ここもすかさず先行で。打ち込みが強く、かつ、機械感の強い音に感じたので、冷静にストップするタイプのポイントからエントリー。そこから曲をしっかり聞きながら慎重にムーブしていく最中にあることに気が付きました。
このムーブめっちゃ普通じゃね?
打ち込みに対してポイントしたりロックしたりするのがなんだかとっても気持ちよくなってしまい、やってること自体はめっちゃシンプルでした。「バトルしてるのに急に基礎練始めちゃったの?」と言われてもおかしくないくらいの淡々と具合。いやこいつ予選からずっと基礎練してるわ。
これはマズイですぞと考えているうちにチェンジ。お相手さんのムーブになるわけです。どんな動きをしてくるのか不安とわくわくが交差した感情で待ち構えていました。最初はわりと抑えめに入ってきてるような印象を受けていたのですが、曲が盛り上がるにつれてテンションをあげていくのが、ヒットがだんだん強くなっていくのと、体の可動域がどんどん広がっていくところから、ひしひしと感じられました。
そしてこのバトルの決定打となるのが、曲のリリックで「Style!」というところで小ジャンプして着地と同時にヒットしたムーブでした。この時の音楽アプローチと技の精度の高さ、それらを両立しながらライブ感も演出するそのワンヒットで、相手も会場も一気にギアチェンジしていきました。ここであっさり負けを認めることもできなかったそのときの私は、一人、そのギアチェンジに取り残されたような感覚に襲われました。みんながTikTokで盛り上がっているのにいまだに前略プロフィールで「ゲスブにカキコよろ」と入力しているような気持ちでした。
終わってみれば0-3で敗退。ジャッジはおろかオーディエンス、いやこの私さえも含めて納得ができる結果でした。相手の会場も巻き込んで空気を変えるムーブに負けたのは悔しさと同等の誇らしさすら感じました。この日の私はギリギリ予選を突破してBEST16で終了。
まとめ
周りの人からは「良かったね!」と言っていただけました。「本当そうか?」と思い、後で動画を見返したところ、あまりはっちゃけたムーブではなかったものの、シンプルな音どりと日ごろから積み上げてきたベーシックがしっかり出せてて思った以上に悪くなかったなと感じました。でもあの曲ならもうちょっと振り切ってぶっ壊れたかったなとも思いました。冷静と情熱のハザマをとるのは本当に難しいなと感じる今日この頃。
何よりFUNKをもうちょっと聞きこみたいなと感じました。他のバトラーのムーブを見ていると、「そういう音の聞き方もあったなぁ」とか「こんなリズムがあったのか!」など、まだまだ感じられていないFUNKの魅力があるのだと痛感させられました。勉強のために聞きこむというよりかは、もっとラフに、趣味の一貫のような聞き方で接していければよいと思っています。
初めてイベントリポートをブログ記事におこしたのですが長すぎますね。今度からはもっと短くします。語りたいことたくさんあったんですごめんなさい。
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