こんにちは!とーやです!
7月レッスンにご参加いただきありがとうございました!
今月は”ダンスとしてフロアをしよう( ◠‿◠ )”をテーマにみなさんと練習させていただきました。非常に疲れましたね。もうやりたくないですね(本心)。
ロックダンスをするうえで「ゲッダン(ハーフスプリット)」や「シフト(アルファ)」は誰しもが一度は通る道だと思います(※括弧内が技の正式名称だそうです。技名至上主義の皆さん、こちら合っていますでしょうか?)。これらのフロアの技名を聞くと「苦手だなぁ…」とか「疲れそう…」などネガティブな気持ちになる人も多いかと思います。一方で「シフトかっけぇ!」とか「ゲッダン入るべ!」などとフロアに魅力を感じる一部のわんぱくな人たちもいます。
このようにフロアムーブは好き嫌いがはっきり分かれる分野ですが、今回は好き嫌いは一旦置いておいてフロアに取り組むうえでの”技術的な意識”と”ダンスとしての意識”を私視点で論じてみます。
重心位置の理解が最重要
フロアの体勢で重心がどの位置にあるかを理解することで、技の上達が早まります。
「フロア」というのは即ち、”制限された体勢で体を大きく動かすこと”だと言い換えることができます。言うなればピカチュウ一匹でタケシのイワークに挑むくらいのしんどさがあります。この”制限された体勢”下で体を動かすカギとなるのが”重心”です。ダンスをやっていると、なんとなく言ってしまいがちなこの”重心”とはそもそもなんなのでしょうか。
重心(じゅうしん)とは、物事の中心となる点で、物体の各部分に働く重力の合力の作用点です。重心で物体を支えると、物体は回転せず、どのような姿勢状態でも安定して静止状態を保つことができます。
調べるとやたら難しく書いてありますが、要するに”その物体の中心に位置する点”ということです。人間が立っている状態での重心は腰の前方あたり(俗に言う仙骨)に位置するそうです。
この説明から読み取ると、重心が動けば、重心の上に乗っている上半身、重心を支えている下半身は形や位置を変える必要があるとも言えるのではないでしょうか。
例えばシフトの場合を考えてみます。身体が四つん這いの裏返しのような状態が基本姿勢となり、この姿勢での重心は腰になります。この重心である腰を下げることで手足が曲がり、腰を上げることで足が跳ね返って腰の下に入り込むことができるようになります。一見すると、シフトは手足の筋力で足を上げ下げしているように見えますが、腰の位置の移動をいかに素早くさせるかのほうが手足の筋力よりも重要になってきます。腰の重心は夏休み明けの大学の履修登録くらい重要なのです。腰に重心があることを理解することで闇雲に手足の力を使うよりも、はるかに簡単にシフトが自分のモノになるでしょう。
他のフロアの技についても同様に、フロアの体勢での重心の位置を理解しておくことで、体の各パーツの移動をどのようにすべきかが見えてくるのではないでしょうか。重心は運動の意思決定をするけれども目立った動きはしない、”身体のCEO”と言ってもよいでしょう。
「重心は理解はしてるんだけどお尻が重くてフロアが苦手で…」という人は、そもそも重心の位置を動かすのが人より難しいということになります。こういった人への解決策は重心位置を移動しやすい体づくり(ダイエット、筋トレ)か、重心の動き幅に比例したフロアの精度で妥協するかのどちらかになります。重心が動きの意思決定になっている以上、重心が少ししか動かないのなら、体のパーツも少ししか動きません。少しでもフロアの精度を高めたいのであれば、重心の移動が大きくスムーズにできるようなトレーニングをすべきだと考えています。
精度を磨く方法
フロアそのものだけでなく、フロアの入口と出口を意識することで精度が高く見えます。
フロアはなんとなくできるけど、いまいち「すごい!」って感じにならないという人は、技の精度だけでなく、技への入り方(入口)と、技の終わり方からその後のムーブへの繋ぎ(出口)を意識してみると印象が大きく変わるのではないでしょうか。
そもそも「フロアがすごい!」とはどういう状態を指すのでしょうか?シフトの足が高くまで上がっていることでしょうか?ニーダンが下まで深く入り込むことでしょうか?ゲッダンの足が大きく開いていることでしょうか?
ここでの「すごい!」という言葉が、仮に「技が大きくてダイナミックだ!」という意味だとすると、大きくてダイナミックにする練習をすれば解決します。ですが、フロアは一朝一夕で大きくダイナミックになるものではありません。積み重ねてきた練習、もともと兼ね備えている身体能力に依存する部分が大きいので、フロアムーブそのものの精度を高めることが、「すごい!」と言わせる解決策にはなりえないと考えています。また、先述のとおり、フロアそのものが”制限された体勢”で行っているので、精度を上げるのにも限度があります。
しかし、フロアそのものの精度でなはく、フロアムーブへの入口と出口を工夫することで、フロアとフロアそのものを含むムーブ全体に対して「すごい!」と感じさせることができると私は考えています。言い換えれば、フロアの入口出口の工夫こそがフロアの精度向上につながるのだと考えています。
極端な例で言えば、シフトをするときにとんでもなく高いところからジャンプしてシフトに入るとします。その場合、シフトそのものがいたって普通だったとしても、入口である大ジャンプのすごさも相まってシフトそのものの付加価値が大きくなるのではないでしょうか。また、シフト終了後にリズムを切らさずに立ち踊りに移行すると、シフトそのものが普通でもフロアがリズムフローの中でアクセントの役割となるので見ている人に印象を残すことができると考えています。
「俺今からシフトやるから見てて」(深呼吸)みたいな感じに、相当な準備時間を要した挙句に何の変哲もないシフトだけやられても、見ている人としては「溜めた割には普通だな…」という弱い印象を与えてしまいます。逆に、いくらフロアがダイナミックだったとしても、フロアばかりでリズムやストップが極端に少ないと、「ロックダンスしてないよな…」という印象を与えてしまいます。これらの例は、フロアがムーブに与えるアクセントのバランスが悪いことで起きるものだと考えています。
要するに「フロアの精度」とは”ムーブ全体を通して見たときのフロアがムーブに与えるアクセントの度合”であると私は考えています。もちろんこの考え方は私の一つの意見にすぎませんが、フロアムーブそのものの「精度」だけを問われるのであれば、ロックダンスとしてフロアに取り掛かる必要がないのではないでしょうか。であればブレイクダンスをやるほうがしっくりくるような気がします。もちろん、フロアそのものの精度向上は引き続き取り組んでいく必要があると思います。ここでは、あくまでムーブの流れを見た時の入口と出口の一工夫を意識することでより良いものになるのではという提案であることをお忘れなきようお願いしますね。
フロアの必要性
フロアは義務ではありませんが、必修科目として学んでおくことは大いに役立つと考えています。
皆さんの周りのダンサーには、フロアをしていなくてもバトルで名を残していたり、発表会のステージで輝いていたりする人はたくさんいることでしょう。フロアはやれば良いというわけではないので、「俺はフロアを使わないダンススタイルで行くぜ!」と考えている人はどうぞそのまま突き進んでください。無理に触れる必要もないのです。
私のおすすめとしては義務的にフロアに取り組むのではなく、フロアを実際にやってみて、「制限された体勢での体の動かし方」を知っておくことは、身体構造の理解に非常に役に立つと考えています。「どういう筋肉を使ってどのタイミングで力を入れるのか」「この体勢でどうやってリズムを生み出すことができるのか」などの疑問とその理解は、フロアをしていない立って踊っているときにも有用に活かすことができると考えています。
また、フロアに入ることに慣れていると、身体を上下させることに抵抗がなくなるので、身体が動いた先でのアドリブ力が向上すると考えています。皆さんの中で踊っている最中に目線の高さが変わると不安になる人はいませんか?自分の慣れた目線ばかりで踊っていると、本番ではべったりフロアに入らなくても、高さを変えて踊るだけで勇気が必要になってきます。音楽をありのままに感じて身体が勝手に動くような人にとっては、目線が変わる不安によって動ける範囲を狭めることになってしまうのではないでしょうか。
こういった理由から、せめて練習だけでも、ほんのちょっとだけでもフロアを自分なりに触れてみることは決して悪いことではないと考えています。
唐突で申し訳ないのですが、私の好きな食べ物は唐揚げです(自己紹介)。唐揚げが好きだとしても1年365日唐揚げだけで過ごすことはおそらくできないでしょう。たまには白身魚もいきたいし、たまには煮物もやりたいわけです。色々な食べ物の選択肢がある中で、たまに実家に帰って食べる唐揚げが至高の逸品になると思っています。唐揚げが嫌いな人は無理に食べなくてもいいのですが、唐揚げがどれだけ罪深い食べ物であるかを理解しておくことは、自身の食嗜好を理解することにつながるのではないでしょうか。関係ないけど”唐突”と”唐揚げ”ってなんか似てるね。
まとめ
7月レッスンでは”フロア”について、私なりに掘り下げてお伝えしました。
〇フロアの体勢で重心がどの位置にあるかを理解すること
⇒重心の位置を理解して身体を動かすことで、フロアムーブは意外と簡単に習得できる。
※重心移動が難しいと感じる人は、重心移動を容易にする身体を作ること。
〇フロアの入口と出口を意識すること
⇒フロアへの入り方と終わり方を意識することで、ムーブ全体としてのフロアの精度を高く見せることができる。
※フロアそのものの精度向上は並行して時間をかけてやること。
〇フロアは身体構造の理解に非常に役に立つ
⇒”制限された体勢”下で動かせる体のパーツや関節の理解は立って踊る際にも有用に働く。
繰り返しになりますが、フロアはあくまで選択肢のひとつなのでできないからダメなことはありません。ですが、フロアに下手な苦手意識を持って取り組まないのはもったいないです。合うか合わないかはやってみてから判断すればいいんです。皆さん怪我だけにはくれぐれも注意してくださいね。
最後までご精読いただきありがとうございました!
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