”踏み込み”のすすめ【8月レッスンログ】

レッスンログ

こんにちは!とーやです!

8月のレッスンにご参加いただきありがとうございました!

今月は”足の裏からダンスしよう!リターンズ”をテーマにみなさんと練習させていただきました。私のダンス観の根底にある「足の裏からダンスをする」という考え方については、このブログを立ち上げる前のインスタ長文投稿おじさん時代(現在も)から強調して伝え続けています。

これまで私が語ってきた足の裏の役割は、「リズムの波及」「リズムキープ」「体重移動」という身体の”内側”にフォーカスしていました。今回は足の裏の役割を身体の”内側”から、よりロックダンスの見えるところに影響を与える”外側”に意識を広げてお伝えします。ここでいう”外側”というのは、「アームス」や「足先」といったロックダンスの技の構成要素となりえる身体の各パーツのことと捉えてください。

要するに、足の裏の意識でロックダンスの見た目は大きく変わると言ってもいいのです。この”足の裏の意識”とは、たったひとつだけで良いです。その意識ひとつで、あなたのロックダンスが上達するとまでは断言できなくても、踊り方の選択肢を増やすことにはなるでしょう。踊り方の選択肢が増えればきっかけになります。そのきっかけは新たな気づきとダンス観を与えて、あなたにとってプラスに働くことになると私は考えています。

「もったいぶらずにその意識することを早く教えてよ!」と、結果を急ぐTikTok世代の皆さんの声が私には聞こえます。落ち着いてください。

お伝えしましょう。

意識すべきは”踏み込み”です。

これに対して「わかるわ~!(頷き)」と共感していただいた方。ここから先は読まなくても大丈夫です。私の言わんとしていることを理解している方だと思います。私と一緒に現場で充実した”踏み込み”ライフ(?)を送りましょう。

「いきなり”踏み込み”って言われましても…」と疑問に思った方。おめでとうございます。そんなあなたには、まだまだロックダンスが上達する余地がかなり残されています。この”踏み込み”意識を知った瞬間、また一段とロックダンスに沼ってしまうことでしょう。記憶がない状態でこれから「進撃の巨人」を見ようとしているのと一緒です。私からしたらうらやましい限りです。

本記事では、この”踏み込み”意識について私なりの解釈を偏見を交えてお伝えします。

作用反作用を使いこなす

引用:中学理科の苦手解決サイト |【さわにい】の解説「【中学理科】作用・反作用の法則とは?わかりやすく解説!」より

地面を踏み込む力で身体全体にパワーを伝えて、力強い重みのあるロックダンスができます。

例えば、あなたがなんだかとても高くジャンプしたくなったとします(唐突)。高く跳ぶために、あなたは膝を折り曲げて深く屈む体勢をとることでしょう。屈むことで筋肉をばねのように使って、地面をより大きな力で踏み込みます。この”踏み込み”の力を受けた地面は、あなたに対して踏み込んだ分の力を返してきます。この返ってきた力を利用することであなたは高くジャンプできるわけです。要するに、地面を蹴る力が強まるほど、それに比例してジャンプが高くなります。これが皆さんご存じの”作用反作用”であり、この”作用反作用”をダンスに利用することでパワーや重みを出すことができると考えています。

ロックダンスにおいて”作用反作用”の具体的な意識として、足で踏み込むのと同時に手先に力を瞬間的に込めることで、足から受けた反作用の力が手先に流れ込んでくるイメージです。実際に立って踊っている場合、足が接地している状態でも地面を踏み込む感覚で力を入れることで、反作用の力はしっかり生まれます。体勢やそのときの動きによっては、ジャンプの例のような単純な力の流れで反作用が届くわけではありませんが、それでも”踏み込み”を使っていないときとは比べ物にならないほど、手先の見栄えは変わることでしょう。直立状態では高くジャンプできないのと一緒で、直立状態でダンスをしていると、身体に伝わる力の流れを正しく使えていない状態と言えるわけです。

ロックダンスの形だけ追ってしまうと、どうしても手先足先の動きにフォーカスしてしまうので、見える部分の動きに対しての練習が多くなります。もちろん腕力だけでもパワーや重みを体現することができますが、その実現には瞬発的な力に加えてコントロールする力や持続する力など、たくさんの力の意識を腕の一点に詰め込む必要があります。いわば腕にとんでもないマルチタスクを強いることになります。そんなブラック企業も裸足で逃げ出すほどのオーバーワークを、身体の一つの部位に丸投げするのは非効率であると同時に、自身の表現の幅を狭める原因にもなります。

クッションを使いこなす

着地時にクッションのように足裏を使うことで、流入してくる力を調節することができます。

踏み込み”による”作用反作用”の感覚を掴めるようになったら、足を着地させたときの「クッション」感を意識して力の流入度合いを調節して、踊りの表現に選択肢を作ってみましょう。

例えば、フットロック(両足を広げて腰低くしてロックするあれ)をするときに、腕とお腹を意識すると思いますが、両足を広げて着地する際に踏み込む力を変えることで、同じフットロックでも見栄えが大きく変わります。強く踏み込めば腕とお腹にも力がこもります。優しくそっと接地すれば腕と足も柔らかいニュアンスになります。”作用反作用”における”作用”の部分を調節してあげることで、ひとつの技の表現パターンを増やすことができます。

この「クッション」の使い方でお勧めしたい具体的な方法が二つあります。一つ目は技のコンプリート時(完成する時)にクッションとして使う方法です。例えばスクービードゥなら、足を入れ替えた後の右足の着地をクッションとして利用することで、最後のストップのニュアンスを変えることができます。大きく力いっぱい踏み込むと固く強いスクービードゥになりますし、足音が聞こえないように「スッ」とおろすと無駄の無いシャープなスクービードゥになりますし、踏み込みを長めに取ることで伸びるようなニュアンスにもなります。

二つ目は足の裏のリズムメイクとクッションをセットで使う方法です。私が散々唱え散らかしている、”足裏から生み出すリズムが身体全体に広がって視覚効果を得られる”という考え方に、今回のクッションの意識を加えることで、より音楽にマッチした表現ができるようになると考えています。今までの”リズムメイク”は「音数の増減」しか着目しませんでしたが、そこに「リズムそのものの強弱」を加えることが可能になるわけです。足の裏から発せられた強弱は、身体全体に伝わるので全身でそのニュアンスも体現できるようになると考えています。

踏み込み”は力を加えた分だけ地面から力が返ってきます。地面は誠実に私たちに力の見返りを与えてくれるのです。好きな人にたくさん尽くしても相手からの見返りが無いと嘆く皆さんは、地面と向き合っているほうが精神的に安定するかもしれませんね(適当)。

重心を決める

踏み込むことで重心の位置を決定して、ブレずにパワーを放出できます。

でました重心。重心については、前回の記事でしっかりと触れていますのでそちらをご覧ください。動作の意思決定を担っている重心は、”踏み込み”を意識することで重心の位置を固定して、外部の力では動きづらい状態にすることができます。

例えば、あなたがなんだかとんでもなくデカいポイントをしたくなったとします(唐突)。自分のイメージできる限りのクソデカポイントを意識して腕を思いっきり振りかぶり、フルパワーでポイントを放り投げたとします。すると、そのポイントは当然のようにブレます(現実)。これだけ大きく振りかぶっているわけですから、ポイントを綺麗に静止させることは非常に難しいのです。ブレてしまう原因は、腕と一緒に身体の重心も動いてしまっているからであり、動作の意思決定をしている重心が動くということは、身体全体も釣られて動いてしまうこととなり、結果として全身がブレることになります。これはとてつもない腕力調整能力をもっていればできる限りのコントロールは可能でしょうが、現実的な解決方法とは言えません。

このクソデカポイントを実現するためには、”踏み込み”を意識して重心の位置を一時的に決めてしまうことが効果的です。これにより、重心の位置が自身の腕力だけでは動きづらくなるため、大きく振りかぶってもブレが軽減されます。重心そのものは足の裏で支えているため、支えとなっている足の裏がしっかりと地面に根を生やすように踏みとどまれば、重心は動かなくなるのはイメージしやすいのではないでしょうか。

地面は見返りを与えてくれるだけでなく、自分の動作の意思決定役である重心も支えてくれるわけです。もうこの世で信じられるのは、人でも宗教でもなく地面なのではないでしょうか(適当)。

まとめ

今回は”踏み込み”のすすめとして、足の裏の”踏み込み”の意識ひとつでダンスの見た目が変わるということを、以下の3つの視点からお伝えしました。

作用反作用
地面を踏み込む力で身体全体にパワーを伝えて、力強い重みのあるロックダンスができる。
踏み込んだ(作用)と同時に手先に力を瞬間的に込めることで、足から受けた力(反作用)が手先に流れ込んでくる。

▶クッション
着地時にクッションのように足裏を使うことで、流入してくる力を調節することができる。
足を着地させたときの「クッション」感を意識して力の流入度合いを調節して、踊りの表現に選択肢を作ることができる。

▶支え
踏み込むことで重心の位置を決定して、ブレずにパワーを放出できる。

”踏み込み”を意識することで重心の位置を固定して、外部の力では動きづらい状態にすることができます。

「足の裏ってめちゃくちゃたくさん働いてるな~」と感じた人も多いことでしょう。私個人として、”足の裏”は臓器で言うところの”肝臓”くらい大事です。”足の裏”って”肝臓”なんです(?)。これだけ足の裏の役割についてお伝えしているのでコントロールが難しそうに感じますが、実際はバタバタ地面を踏み込んでいるわけではなく、体重のかけ方を調整する程度の意識で十分なので、案外誰でも簡単に実践できる意識だと考えています。

踏み込み”の最大の強みは、足裏に力のスタート役を担わせることで、伝わった力フルパワーで使ったり、あえて使わなかったりと選択肢を増やせることであると考えています。「自分の身体を自分でコントロールしている感覚」を掴むことで、”自分の意思でダンスをしている実感”を持つことができるので、ダンスそのものがどんどん楽しくなっていくことでしょう。

そんな足裏の働きと地面の存在に日々感謝して寝床につきます。

最後までご精読いただきありがとうございました!

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