初めての依頼。「らしさ」をとるのか「ニーズ」をとるのか。
とある平日、いつものように現場でselect文を投げていた私に1件のLINEが届いた。
「ウチのサークルでワークショップしてください!」
仲良くしてくれている後輩からの連絡だった。確かにこの前イベントで一緒になったときもそのような話をしていたなと思い出した。
いや、サークルのワークショップでこの俺呼ぶとかセンスすごすぎるやろ
と思いました。
確かにここ1年はレッスンに力を入れてますけど、まるでお手本にならない独自解釈の技の数々(主にフロア)、自分で作ったフリの成功率は良くて70%、言ってること(レッスン)とやってること(バトル)が全然違うなど、教える側としての一貫性はヤスダかどっかに置いてきてしまったのではないかと思います。私自身、教えることに自信満々なわけではないのです。ましてやサークルから依頼される形でのレッスンというのは生まれて初めてなので想像がつかない部分もありました。
だがしかし、こんな私でも求められているのならと二つ返事で引き受けることに。
その日の仕事の昼休みに近くの河原で具体的なワークショップ(以下、WS)の内容を考えていました。
~荒居の脳内~
「サークルから始めた大学生に教えるということでおそらくダンス経験は1~2年程度」
「ということはダンスにもそこそこ慣れてきてはいるが、がむしゃらに踊って楽しい!って言ってる時期は終わっており、うまくなっている実感がわかずに若干のモヤモヤを携える時期であるかもしれない」
「となるとシルエットなどをある程度強制して自分の動きがきれいになっていることを鏡で確認してうまくなっていると思わせることで本人たちの意欲もあがるかもしれない」
と、WSに対して、まだ顔も知らない大学生たちに思いを馳せながらそのニーズについて熟考していくうちにある思いがこみ上げてきました。
「本当にこれがWSで求められていることなのか」
最近見たアニメ「推しの子」にてこんなシーンがありました。
ホラー映画の撮影に参加する主人公は不気味な演技を映画監督から依頼されるのですが、不気味な「演技」をすること自体をその主人公には求めているわけではなく、主人公のキャラクターそのものが不気味であるから、ありのままの演技をすることが求められているのだというものでした(※独自解釈を含んでいます)。
ダンスのWSやレッスンについても、もちろん受ける側のニーズをくみ取ることは大事ではありますが、何より求められているのは、私自身の重要視している動きや考え方なのではないかとの考えに至ったのです。
だとすると、自分の考えを押し殺してまで受ける側に合わせるレッスンは依頼者に求められているものではないのではと思うようになり、じゃあ自分のありのままをみんなに教えようと決断しました。
そう、長らく提唱し続けている「足の裏からすべては始まる」という理論を。
足の裏からすべては始まる
①足の裏はローマに通じる
「いや何言ってんのおたく?」と思いましたね?私も書いてて「なんやそれ」ってなってますよ(逆ギレ)。
でも実際足の裏の意識が最終的にロックダンスの土台を作っているといっても過言ではないのです。リズムどり、重心、ストップなどダンスにおいて欠かせない基礎の部分を足の裏でコントロールしています。今回のレッスンでも足の裏から始まって、最終的にロックダンスと絡めて以下のように解説しました。
②ダンスとスクワットの違い
ダンスの入門クラスとかでダウンやアップをやらされた記憶も皆さんにはあると思います。体のリズムどりの基本中の基本なわけですが、ダウンやアップというのは何かに似てませんか?そうですね。スクワットですね(確定)。膝が前に出すぎないように、かといっておしりも後ろに出すぎないように屈伸運動を連続するその様は正にスクワットのそれなのですが、フィジーカーどものスクワットとダンサーのアップダウンには大きな違いがあります。それがこの足の裏のリズムどりなのです。体で大きく上下してリズムをとるのと一緒に足の裏で地面を踏むことでリズムを生成しています。この足の裏のリズムがない状態で、スクワットのようなアップダウンをロックダンスに組み込むと見た目はどこか硬さのある状態となりますし、リズムを刻む箇所が体だけになるのでハヤドリをしてしまうこともあります。足の裏は体全体を支える箇所にもなるので、その支える箇所から発せられるリズムをもとにダンスをすればリズムを乱すことは少なくなるはずです。
③ロックは足の裏で止まる
先述のとおり足裏で体全体を支えているのですから、足裏に対して強く体重を乗せると体のリズムも消えてブレのない状態にすることができます。足の裏に体重をしっかりと乗せるという意識をもとに手やお腹、腰をつけてロック(The Lock)をすることでしっかりと止まるようになるのです。もちろん手やお腹のパワーも重要なのですが、それだけになってしまうと体にブレが生じたり、ハヤドリしてしまう原因になります。あくまで足裏がベースにあるんだなということは忘れないほうが身のためですよ(?)
ちなみにポイントやスクービードゥなどの他のロックダンスの技や、ダンスのポージングなどの止まる際は足の裏意識でその止まり具合がかなり変わってくるはずです。
以上の観点を踏まえて「足の裏からすべては始まる」理論の説明を終了いたします。異論は認める。
だけどさ、一度だまされたと思ってやってみ?感覚結構変わって面白いよ?
「外部」という概念
ちょっと話はそれますが、サークルに所属していると「外部」のナンバーに出演するとか「外部」のバトルに挑戦するとかで「外部」という単語をよく耳にします。
ここでいう「外部」というのはサークル以外でのダンス活動を指すものであり「夏が」(意味:夏合宿)や「ジャンリー」(意味:サークル内でのそのダンスジャンルの統括者、リーダー)と同じようなサークル用語の一種です。コミュニティには独自の意味を持った言語が生まれるというのはよくあることだそうです。別にこれらの用語はバカにしてないです(笑)本当ですよ(笑)僕だってサークルに所属してたし多分使ってたし(笑)
今回のWSも「外部」としてとらえられているわけなんですが、この「外部」という言葉ができると急にバトルやレッスンに行くことに猛烈に高いハードルが設定されるような錯覚が生まれると考えています。まだ見ぬ壁の外の世界みたいな感覚で恐怖心を抱く人もいるのではないでしょうか。でも実際にこの心理的ハードルは勝手に自分で作ってるもので、バトルやナンバーに挑戦することはそんなに怖いことでも難しいことでもないってことはぜひ知っておいていただきたいです。イベンター側もいろんな人が来てくれるほうが嬉しいに決まってますからね(これはガチ)。
なのでサークルで頑張ってる皆さんはぜひその頑張りを披露する舞台に積極的に挑戦していってほしいです。挑戦しながら学ぶこともたくさんありますからね。この「挑戦しながら学ぶ」という話もしっかりしたいのですが長くなるのでここでは割愛。
まとめ
今回は初めての大学サークルWSの備忘録と感じたことを残しておきます。
・求められていることとニーズのバランスを意識する
・足の裏はローマに通じる
・「外部」なんて怖くない。自分の世界を広げよう。
今回ご依頼いただきました、
東京電機大学ダンス部B.Light-Family様
誠にありがとうございました。
また、この記事を読んでとーやとかいうやつをWSで呼んでみたいなと感じた正気じゃないジャンリーの方がいらっしゃいましたらSNS等でご連絡いただければと思います。
それでは。
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